タマゴグモ科の微小種たち

タマゴグモ科(Oonopidae)は体長1~3㎜程度の微小な種を含む分類群である。微小ゆえに本科の認知度は低いが、実にユニークな種が属している。

 

ダニグモGamasomorpha cataphracta (タマゴグモ科)

つくば市では街路樹の樹皮や樹木名プレート裏に多く見られる、全身が赤褐色の微小なクモ。腹部が硬いキチン板に覆われているのが特徴。樹皮表面を素早く走り回る。

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【ダニグモ♀ 2016/6/9撮影 つくば市

 

ナルトミダニグモIschnothyreus narutomii(タマゴグモ科)

森林の林床にて、落ち葉中や倒木の下から見いだされるクモ。体は黄褐色で、腹部背面に小さなキチン板が認められる。

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【ナルトミダニグモ♀ 2016/10/15撮影 つくば市

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【ナルトミダニグモ♀ 2017/2/27撮影 奄美大島

色彩変異があるようだ。奄美大島では赤色の強い個体が見られた。

 

ダニグモ属の一種Gamasomorpha sp.(タマゴグモ科)

水田や畑の脇に置かれたコンクリートブロックの裏より発見した、全体的にくすんだような体色をしている種。種の見当はついているが、成体を採集できていないため保留とする。

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【ダニグモ属の一種 2016/10/2撮影 つくば市

 

オキツハネグモOrchestina okitsui(タマゴグモ科)

屋内に生息する淡褐色の微小なクモであり、本個体は友人の標本箱の中より発見した。

ハネグモ属の仲間は第四脚腿節(図中矢印)が発達しており、跳躍して逃げることがある。

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【オキツハネグモ♀ 20171108撮影 つくば市

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【オキツハネグモ♀ 2015/12/26撮影 つくば市

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【同個体側面図 2016/12/26撮影 つくば市

 

アカハネグモOrchestina sanguinea (タマゴグモ科)

つくば市では主に平地の雑木林に生息し、ササ類をビーティングすると大量に得られることもある。夜間は葉枝間にぶら下がっていることが多い。

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【アカハネグモ♀成体 2016/7/5撮影 つくば市

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【同個体側面図 2016/10/29撮影 つくば市

 

タマゴグモ科の特徴は?

タマゴグモ科の特徴として「眼が6個または完全に退化(普通のクモは8個)」、「書肺は1対で二対の気門をもつ」、「3対の短い糸疣)」などが挙げられている(小野2009)。当然ながらいずれも微視的な形質であり、野外において「あっこいつタマゴグモ科だ!」と実感するのは容易ではない。むしろ、「ダニグモ」や「ハネグモ」といった属レベル、種レベルで認識することのほうが多いだろう。

タマゴグモはその微小さゆえに捕食習性などの基礎的な生態が解明されていないグループのひとつであり、観察対象としては非常に興味深い。微小種を一概に「ダニやトビムシを捕食する習性をもつ(だろう)」とあしらうのは乱暴である。地道な作業になるが、野外で採餌を確認した際はしっかり記録しておきたい。