ジグモ♂とワスレナグモ♂

ジグモAtypus karschiiとワスレナグモCalommata signataはいずれもジグモ科に属し、地中に穴を掘って生活する習性により知られる。

 

ジグモは民家の周辺などに多く生息し、庭先の植木鉢や樹木、草本の根元などによく目立つ袋状の巣(地上部)を張り付けるため、認知度が高い。幼少期に、本種の巣を引っこ抜いて中のクモを取り出す遊び(ジグモ釣り)を経験された方も多いだろう。

ワスレナグモも民家の花壇や植え込み、駐車場や畑の脇など身近な環境にみられるクモだが、ジグモにみられるような袋状の地上部を作成せず、巣は内側を白い糸で裏打ちされた単純な穴として開口する。巣の入口は地面に対して水平な方向を向いていることもあり、発見するのは容易ではない。

これらのクモは生活のほとんどを巣穴の中で過ごすが、♂の成体は成熟期になると地上を歩き回り、交配相手である♀の巣を探し始める。

 

 ジグモAtypus karschii(ジグモ科)

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【ジグモ♂成体背面図 2016/6/25撮影 つくば市

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【ジグモ♂成体側面図 2016/6/21撮影 つくば市

ジグモの♂は強大な上顎と白色の上顎基部、光沢のある黒色の体が特徴的である。6月の半ば頃から地面を歩き回る様子が観察される。

 

ワスレナグモCalommata signata(ジグモ科)

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【ワスレナグモ♂成体背面図 2016/9/14撮影 つくば市

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【ワスレナグモ♂成体側面図 2016/9/14撮影 つくば市

ワスレナグモ♂は体が華奢で歩脚も細長く、素早く歩き回る様子は一見するとアリのようだ。長い触肢と細長く突出した上顎が特徴的で、その異形さにはアゴザトウムシに通ずるものがある。9月頃に歩き回っているのを見かけることが多いように感じる。

 

これらの♂はいずれも民家の庭や公園といったごく身近な環境に出現するが、出現時期はずれているようだ。

ワスレナグモの♂が見つかった場合、周辺の植え込み等を注意深く探せば、♀や幼体の巣穴が見つかるかもしれない。